『お寺の猫』

近所のお寺に住みついている黒いノラネコ。

ときどき、おさいせん箱の横にすわっていました。

お参りする人が来ても知らんぷり。とてもかわいらしく、

ネコ好きの私は散歩の時、必ずお寺の前を通って

その姿をさがすようになりました。  

しばらくして、私は少し離れた所へ引っ越しをしたので

立ち寄る機会はなくなりました。

心のどこかであの子はどうしてるかな、と思いながら1年。

先日、久しぶりにお寺に行ってみました。  

すると、以前と変わらず境内の階段で体をのばしてねそべっている、

あの黒ネコをみつけました。

首には青い首輪と鈴。飼い主が見つかったと知り、なんだか胸が熱くなりました。

(創作はり絵作家、渡辺順子 絵・題字も)